イベント名
チュートリアルシリーズ
発表年月日
2022/12/09
タイトル
高出力・高ビーム品質フォトニック結晶レーザー(PCSEL)の進展
講演者
野田 進(京都大学), 
抄録
半導体レーザーは、小型・高効率・高制御性ゆえに、通信・情報・光記憶の分野で欠くことの出来ないキーデバイスとなっているが、既存の 半導体レーザーの点は、高ビーム品質・高出力動作が困難である点にある。高出力化のために面積を大きくすると、面内方向の光の状態を制御す る機構が存在しないため、多く不要モードが出現し、ビーム品質が著しく低下する。このことが、最近、注目を集める超スマート社会 (Society 5.0)を支えるスマートモビリティやスマート造分野の発展のボトルネックとなっている。例えば、自動運転や、ロボットの自動走行などの目の働きをする LiDAR(Light Detection and Ranging)センシンの光源部には、ビーム品質の悪い既存の半導体レーザーを用いざるを得ないため、複雑な光学系とその制御・調整が必須であり、コ ストの増大、サイズの増大、さらには信頼性の低下等の問題を生じている。一方、スマート製造の核となるレーザー加工においては、現状は、 CO2レーザーやファイバレーザーなどの大型で低効率のレーザーが用いられているが、カーボンニュートラルの観点から小型・低消費電力・低コ スト化に適した半導体レーザーの活用が切望されており、ここでも半導体レーザーの高輝度化は必須と言える。 半導体レーザーの高輝度化を実現可能な唯一の半導体レーザーが、フォトニック結晶レーザー(PCSEL)である。本レーザーは,2次元 面内の光の状態を制可能で、不要モードの存在を許さない光共振器を形成可能なことを特徴とし、1mmΦを超える、半導体レーザーでは極めて 大きな面積でも、高ビーム品質かつ高出力動作が可能になってきている。さらに、フォトニック結晶の有する各種の光制御性ゆえに、任意の形状・ 偏光ビームの発生や、電気的ビーム走査など、様々な機能性までが実現されている。本講演では、このような高出力・高ビーム品質可能なフォト ニック結晶レーザー(PCSEL)の最近の進展について講演する。

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